クリスチャン・ボルタンスキー – 国立新美術館・エスパスルイヴィトン両館の展示に行ってきた
ボルタンスキーの日本では過去最大規模となる回顧展「Lifetime」が開催され日本国内数カ所を巡回展示しています
東京では国立新美術館で6月12日(水)~9月2日まで展示が開催されており、同時に6月13日〜11月17日の期間エスパスルイヴィトンでもボルタンスキーの映像作品が展示されています。今回は同日に両方見てきました。
クリスチャン・ボルタンスキーとは
クリスチャン・ボルタンスキーは1944年パリ生まれのフランスの現代アーティスト。彫刻・写真・画家・映画と幅広い表現の作品を制作している。
ボルタンスキーは制作活動を始めた時から、個人の記憶や存在、不在、生と死などを作品の主なテーマとしています。
72年にドクメンタ(ドイツ・カッセル)に参加し世界各地で展覧会を開催。2011年にはヴェネチア・ビエンナーレにフランス館代表作家として参加、私たちに馴染みが深い展示としては「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」などへの作品参加ではないでしょうか。
クリスチャン・ボルタンスキーのパートナーは同じく現代アーティストのアネット・メサジェ、兄は社会学者のリュック・ボルタンスキー。
国立新美術館 クリスチャン・ボルタンスキー – Lifetime
東京の国立新美術館では撮影がNGとなっている作品が多かったため代表的な作品を画像としてご紹介できませんが、撮影可能なものからご紹介します。(大阪では撮影可能だったそうで展示構成も異なるとか。各館の違いを見るのも面白そうですね)
展示の前半は写真を使った生と死を感じさせる作品群で構成されています。
「モニュメント」は祭壇のようなオブジェクトの上に飾られた子供の写真が神聖さと同時に不在を表すようです。
前半には家族の写真を並べたものなど写真を主に使用した作品を主に展示が構成されています。
[ボタ山]
ぼた山とは、炭鉱の採掘の際に出る捨て石を積み上げた山のことだそうですが、この作品は黒い洋服を積み上げて作られています。
周囲には立てかけられた木に洋服がかけられており中に仕込まれたスピーカーから言葉が流れます。まるでその洋服を着ていた人が
語っていた記憶の断片のようです。炭鉱で多くの人々が働いていたこと、それぞれの人生を表ているようです。
[スピリット]
[アニミタス]
[ミステリオス]はパタゴニアで撮影した映像作品
パタゴニア先住民にとりクジラは「時の始まり」を知っている動物で一番左の映像では鯨の骨が映し出されています。
真ん中の映像は大きな筒状のトランペットのようなオブジェ。
オブジェの中を風が通ると「クジラの言葉」が語られるという設定でクジラに「なぜ我々はここにいるのか」問いかけています。
右の映像は海と海岸の風景が続きます
[ミステリオス]を抜けると 保存室(カナダ)が展示されています
古着で壁を埋める本作品は、最初にカナダで制作されました。《保存室(カナダ)》というタイトルは、存在が消えてしまうことを表し
その服を着用していた今はいない人々を連想させます
保存室の向かいには[黄昏]が
毎日毎日3つずつの電球が消灯され会期終了時には全ての電球が消えます。命の有限さを表しています
顔のコピー画像の上に薄い紗のような布がかかっているのがまるで棺の中に収められた亡骸のようでもあり
写真の人物のそれまでの人生や起こった出来事を想像させてくれました。
エスパス ルイ・ヴィトン 東京 「アニミタスⅡ」
表参道に面したエスパス ルイ・ヴィトン東京では2つの映像作品、「アニミタス(ささやきの森 - 撮影地日本)」と「アニミタス(死せる母たち – 撮影地イスラエルの死海)」が展示されています。真ん中のベンチから両作品が向かい合って上映されていて対象をなしています。
そしてボルタンスキーの可能な人生のインタビュー動画(約50分)が上映されています。
国立新美術館でもアニミタスが上映されているのでそれぞれを同時に見比べることができるいい機会、ぜひ両館に行って見てください。
クリスチャン・ボルタンスキー 国立新美術館
会期:2019年6月12日(水)~9月2日
所在地: 〒106-8558 東京都港区六本木7丁目22−2
時間: 10時00分~17時30分
火曜日 定休日
料金: 当日 1,600円(一般)、1,200円(大学生)、800円(高校生)
前売/団体 1,400円(一般)、1,000円(大学生)、600円(高校生)
国立新美術館公式サイト
クリスチャン・ボルタンスキー「アニミタスⅡ」エスパス ルイ・ヴィトン 東京
会期:2019年6月13日〜11月17日
会場:エスパス ルイ・ヴィトン 東京
住所:東京都渋谷区神宮前5-7-5 ルイ・ヴィトン表参道ビル7階
電話番号:0120-00-1854
開館時間:12:00〜20:00
休館日:ルイ・ヴィトン表参道店に準ずる
料金:無料