サンシャワー 東南アジアの現代美術展 内覧会 – 森美術館

サンシャワー内覧会とオープニングレセプション @森美術館

国立新美術館を見終わったら徒歩で5分ほどの所にある六本木ヒルズへ移動し、受付をすませて森美術館へ。
オープニングレセプションは始まっているけど、先に展示を見る事にしました。

発展とその影

総人口6億人を超えるASEANは、世界的にも今後の成長が期待されており、自由貿易によって生まれる巨大市場に海外資本も注目しています。成長率は国によって異なりますが、高度経済成長とそれに伴う開発は、都市部の景観を急速に変え、人々の生活にも劇的な変化を及ぼしています。その影で社会には格差が生まれ、伝統的な文化が喪失されることへの懸念もあります。アーティストは、しばしばそうした変化を批評的に見つめています

森美術家の展示室を入った所にあるこの作品は、アジアの高層ビルをイメージさせているそうです。鉄パイプで作られたビル群の間に取り付けられているのはスピーカー。ここから音が流れていますが、これは高速道路の音を録音したものだとか。音が流れるたびにからからと乾いた振動が起こり、無機質な感覚を帯びます。アジアの急速は経済発展とそこから生まれる問題とを主題に作られた作品です。

下はジョンペット・クスウィダナント の《言葉と動きの可能性》 2013年の作品。原動機のないモーターバイクとその上に旗とスピーカがあり、スピーカーからは1998年のスハルト氏の大統領辞任演説と祝祭的音楽を流しています。地域通貨の暴落危機で国民の不満がでて辞任しましたが、政権下では弾圧や拷問などもあり、作品の中で人を表現しないことで犠牲になった人たちを逆説的に表現しているようです。 

リュウ・クンユウ (b.1960) マレーシア《そびえ立つ街》「破壊るものと保存ようとするものを見る事で国家の在り方を問う」作品。
フォトモンタージュで作られたこの作品は作家が国中を旅しての有名な建物や場所などの写真を撮影して作られたもの。キッチュだけど何枚も重ねて厚みを出す事で作品に重厚感が生まれています。

写真が何層にも重ねられている事が、社会の多重性を表現しているようにも感じ取れました。

アートとは何か?なぜやるのか?

公的な美術館など現代美術のための制度が発展途上にある東南アジアでは、創造活動の目的も現代美術を取り囲む制度内での成功に限定されていません。むしろ、若い世代のアーティストのなかには、環境問題や離散する地域社会などコミュニティーのさまざまな課題へ向けてアートに何ができるのかを問う姿勢が顕著に見られます。コミュニティーに介入し、一般の人たちの参加を求めるソーシャリー・エンゲイジド・アートの実践や、コレクティブ(集団)としての活動は、日本よりも色濃く見られる特徴のひとつと言えるでしょう。

アイ・コー/ニュー・ゼロ (b.1963/2008~) ミャンマー《村の美術学校》 のコンセプト説明パネル

瞑想としてのメディア

東南アジア諸国では多様な民族、言語、文化、宗教が共存しており、そこで継承されている年中行事や祭祀は、成長や開発が進む今日においても日々の暮らしに密接に関係し、現世だけでなく死後の世界や超自然界に向けられた関心などにも繋がっています。本セクションでは、古来の自然信仰から特定の宗教まで、より幅広い神秘的で崇高な世界を、伝統的な工芸のテクニックや思想をとおして作品化しているアーティストを紹介します。

歴史との対話

東南アジアの新しい世代のなかには、さまざまな政治的、経済的、社会的な変化を繰り返してきた地域の歴史、とりわけ戦争や抑圧の歴史を訪ね、記憶を継承しようとする動きが見られます。また、現代アートの発展に大きな貢献をしてきた先の世代のアーティストの実践を、現代に継承しようとする意識も見られます。本セクションでは、歴史の再訪や、世代を超えた対話をとおして、今日の社会や現代美術をより大きな歴史のなかに位置づけようとしている作品を紹介します。

1000個を超える風鈴が音を奏でるインスタレーション。プラスチック製のカラフルな風鈴は東南アジアの祝祭性と現代の大量生産に支えられた世界経済を象徴している作品。

私は結構作品の影って好きで、よく写真に撮っています。この作品は風鈴の下に観客が入る事が出来ます。中に入れるという事はそこにも作家の意図する所はあるわけで、音や風で揺れる風鈴の色、色の重なり、影の移ろいを空間の中に入って体験することは「象徴として作られた世界」と一体化し五感を通して作家と見るものが語り合えると思うのです。

写真や本を見るのもいいのですが、やはりアートの醍醐味は作品と対峙して感じること。見応えのあるボリュームの展示なのでぜひ足を運んでみてください☆

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サンシャワーオープニングレセプション @森美術館

一通り見終わってからオープニングレセプション会場に、、シャンパンを美味しく頂きました。
知り合いの方ともお会い出来て話がはずみ、とてもとても楽しい時間となりました。展示もまた時間をかけて見に行く予定です。

森美術館

東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階
会館時間:年中無休 10:00~22:00(最終入館 21:30) ※火曜日のみ、17:00まで(最終入館 16:30)
公式サイト:http://www.mori.art.museum/jp/index.html
料金:2館共通(国立新美術館&森美術館の両方)
一般:1,800円/大学生:800円
単館(国立新美術館または森美術館の一方のみ)
一般:1,000円/大学生:500円