サンシャワー 東南アジアの現代美術展 内覧会 – 国立新美術館

7/5から 国立新美術館と森美術館の2館で開催された 「サンシャワー 東南アジアの現代美術展」の内覧会とオープニングパーティが7/4午後から行われ参加、一足早く展示を鑑賞してきました。

サンシャワー 東南アジアの現代美術展の概要

うつろう世界

世界のいかなる地域や時代においても、地図には政治的、経済的に多様な価値観や視点が織り込まれています。アーティストが描き出す地図は、単に地理的な特徴を記すのではなく、東南アジアの複雑な歴史と空間を表しています。本セクションでは、異なる視点から土地とその意味を見つめる複層的な地図、人々の移動を記録することで記憶を呼び起こす地図、理想的な社会を求めた想像上の地図などをとおして、東南アジアという空間を考えます。

このテーマは地図を通してアジアの問題を表現した作品を集めた空間です。イーイランの「うつろう世界」で始まるこの空間は伝統的な手法を使った作品が見られます。1980年代後半からアートの世界で多文化主義(multiculturalism)が広まりアジアやアフリカなどの民族文化/少数民族やマイノリティのアートが広がりました。伝統工芸がイコール現代アートというくくりではないですが、伝統工芸の技法を使った新しい表現は、地域の伝統や歴史と絡めたテーマを浮かび上がらせるのかも知れません。

アジアの紛争をテーマにした作品では地図の上に血が流れるようなイメージで描かれています。

情熱と革命

東南アジア諸国の多くは、第二次世界大戦後の1940年代から80年代まで、植民地支配からの独立が続きました。その間、独立戦争、インドシナ戦争、ベトナム戦争、カンボジア内戦などが起こり、一方では芸術表現への抑圧や弾圧が続いた国も見られました。そうした環境のなかで、多くのアーティストは民主化や表現の自由、言論の自由に向けた活動を行ってきました。本セクションでは、こうした時代をリアルタイムで体験したアーティストの作品を中心に紹介します。

FX ハルソノ (b.1949) インドネシア《声なき声》は シルクスクリーン、キャンバス、木の椅子、スタンプ で構成された作品で、写真は部分しかとれていませんが全部で9枚、左からDEMOKRASI(インドネシア語で「民主主義」)という単語になります。指文字の前には木のイスがおかれていてその上にはそれぞれの指文字のアルファベットのスタンプが置かれていて、参加者がスタンプを自由に押せるようになっています。

アーカイブ

近年、インターネットの発達によって、それまで発見や入手が困難だった情報へのアクセスが容易になり、それを起点にした調査研究をもとに、美術資料をアーカイブ化しようとする動きが見られます。東南アジアでも、各地で蓄積されてきた資料が公開されつつあり、その一方で美術資料そのものを素材として作品化するアーティストも増えてきました。本セクションでは、そのうちシンガポールのザ・アーティスト・ビレッジ(TAV)の活動を総覧できるコウ・グワンハウの「シンガポール・アート・アーカイブ・プロジェクト」(2007年)をはじめ、いくつかの例を紹介します。

さまざまなアイデンティティー

脱植民地主義の時代に入り、独立や民主化が人々にもたらしたのは、新しい国家としてのアイデンティティー、民族としてのアイデンティティー、個人としてのアイデンティティーなど、自らを成り立たせているアイデンティティーとは何か、という問いでした。この複雑な問いは、冷戦構造が終焉を迎えた1989年以降、それまでのイデオロギーに替わる新しい価値の基軸を求める世界各地で共有されたものでもありました。この時期に制作された現代美術の作品には、さまざまなレベルでアイデンティティーを問うものが多く見られましたが、これは今日もなお複雑な課題として継承されています。

日々の生活

1990年代以降、多くのアーティストが毎日の暮らしや日常に目を向け始めました。国際的にもグローバル化や多文化主義が拡がり、世界各地それぞれの平凡な日常のなかに文化的、社会的、歴史的文脈を見出し作品化することが、新しい世代の表現として注目されたのです。そこでは、家族との思い出、毎日の食事や遊び、路上での多様な営みが、絵画、写真、映像、インスタレーションなどのメディアをとおして現代美術の文脈に持ち込まれました。同時期、世界各地で急速に拡張した国際展では、新しい世代のアーティストが注目され、東南アジアのアーティストも世界へ活躍の場をひろげていきました。

こちらには載せていない作品も沢山あり、また映像作品もかなり豊富です。全て見るには半日ぐらい欲しい所、急ぎ足で森美術館へ移動しました

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国立新美術館 NACT

東京都港区六本木7-22-2
火曜休館
10時~18時(入場は17時30分まで)
※会期中の毎週金曜日、土曜日は21時まで(入場は20時30分まで)
http://www.nact.jp

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