ガゴシアン他、ニューヨークのギャラリー巡り NYの旅[2016]

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NYには数多くのギャラリーがあります。チェルシーにも沢山ギャラリーがあり、有名なガゴシアンギャラリーの1つもチェルシーにあります。

今日はチェルシーを中心にギャラリーを巡ってみました。

このあたりはもともと倉庫だったのでしょうか? どのギャラリーも天井がとても高くて、天窓から光が入っています。

自然光が入る美術館/ギャラリーは少ないのですが、理由は作品の素材や制作方法によっては光があたると退色や劣化するからです。水彩画や写真など特に日光にはよわいので、作品ごとに年間で展示する事が出来る時間が何時間以内と決まっていて、一定期間展示されたものはしばらく展示することが出来ません。

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チェルシーのガゴシアンギャラリーです。
 
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 ガゴシアンギャラリーといえば、村上隆、ダミアン・ハーストなどの現代アーティスト。ジャスパー・ジョーンズ、バスキア、ウォーホル、ラウシェンバーグなど近現代アートや巨匠作家の芸術作品を扱う世界屈指のギャラリーです。収蔵作品は美術館クラスとも言るのではないでしょうか。
チェルシーのガゴシアンギャラリーはRichard Serra展。
  
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リチャード・セラは、トライベッカ、ニューヨーク、そしてノバスコシア州ケープブレトン島に制作と生活の拠点を置く、アメリカのミニマリスト、ポスト・ミニマリストの彫刻家、映像作家。板金を使った巨大彫刻で知られる作家です。
 
Dia:Beaconにも展示されていましたが、アメリカを代表する作家です。

この広さ。Richard Serraの作品が展示できるって事だけでどれだけ広いかわかるかと思いますが。。。これがギャラリー???ですよね。

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これぐらいだと日本で一般的にギャラリーと言われ想像する大きさを超えている気が。
ガゴシアン周辺のギャラリーは同様に天井が高く天窓がある作り、どこも規模が大きいです。
 
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もちろん日本のギャラリーと同程度の広さの所もあります。
  
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チェルシーからアッパーイースト方面に歩いて移動しましたが、途中にも道なりにギャラリーがあります。
NYのアートの層の厚さが良くわかります。

こちらはアッパーイーストにあるガゴシアンギャラリーです。
 
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残念ながらこちらは展示替え中でした。
 
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Park & 75, New YorkのガゴシアンギャラリーはRUDOLF STINGELの展示。

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ロココ調の文様をゴールドでシックに描いていますが、実際に作品を見るとベースを作ってあり文様に会わせて凹凸があります。その上に白色で大きなタッチをつけていますが、このタッチに無駄がない。

美術やデザインの基礎を学んだ人は、作品を直接見るとその違いがわかると思います。

ラフなタッチをつけた場合、基礎力があるかないかで大きくし上がりが違う。基礎力がなくただラフにタッチをつけただけだと筆の形は美しくなく無駄が多いのです。RUDOLF STINGELの作品は大きな刷毛で描いた部分もひとつひとつ美しく無駄な形はありません。

実際に作品を見て思う事は、ガゴシアンなど有名ギャラリーやミュージアムに出ている作品は「面構え」が違うというか、仕上がり・クオリティが高いのです。シンプルに見えてもものすごく計算されて仕上がりが美しい。

例えば河原温さんの todayシリーズも 文字のフォント、画面に対するサイズとバランス、色の塗り方、どれをとっても丁寧で絶妙なバランスで制作されていて、ただキャンバスに日付をかいただけではないのです。

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所で日本のギャラリーと海外のギャラリーは大きく仕組みが違います。

日本のギャラリーは貸しギャラリーが多く、1週間で20万円とか支払い作家がギャラリーを借りて展示を行います。そのため誰でも借りて展示を行う事が出来ます。

海外のギャラリーは貸しギャラリーは少なくギャラリーが作家の作品を販売して利益を出します。そのため作家がギャラリーで展示を行うために使用料金を支払う必要はありません。

そのかわり誰でも展示出来る訳ではなく、ギャラリーが選んだ作家の作品の展示(つまりプロ)となるわけです。契約作家という仕組みもありギャラリーと作家が契約を結んで作品を作るケースもあります。

大手ギャラリーはアートバーゼルなどのアートフェスにブースを出して積極的に販売を行っているので、こうした所からも作品が売れ作家の利益となるため、アーティストがアートで生計を立てる事が可能となるのです。

 
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日本のアートが育つには、日本国内でもアーティストが生計を立てられる仕組み、アートが売れる販路や市場開拓が急務でしょう。